京都智恩院にある有名な画で、伝、除きの紅白蓮花図によく似た画であって古風を帯びてはいるものの、明代の作のように思われるということです。
明の孝宗のころ、呂紀という画家がでて朝廷の画院に入ってからは、当時の画人はみなこの人の画風にならう者が続出しました。
この蓮の図も、こうした明代の時代的影響をうけてつくられたものと推定されますが、記名がないために筆者は明らかでありません。しかし、その精妙筆致は、宋、元、の花鳥画に比するとも劣らないといわれます。
この画は、徳川家康が大恩寺に寄進したもので、二幅一対となっています。
広報みと:❺文化財 昭和52年12月15日号より