小規模事業者の活躍を応援します。

御津町商工会

★法住寺の『千手観音立像』 木造 (7-㉒)

46.pngこの観音様は、藤原末期に属する秀作である。像高168センチという大きなもので、霊験あらたかなためにいろいろの願をかける人でにぎやかい。願いごとのかなえられた証拠には、だるまに両眼の点ぜられたものが幾千となく奉納されているのをみても、庶民信仰の根強さが偲ばれる。
明治初年、王政一新の波に乗って神道を盛んにし、仏教を排斥する廃仏毀釈という、行き過ぎた政策が全国的に実行されて、多くの仏像経典類が破棄されたことがあった。そのころ、赤根に今泉唐左衛門という伊勢通いの船乗りがいたが、たまたま伊勢の上善寺において仏像が海に流されるのをみて、大変勿体なく思い四体もの仏像をもらって船に積みこんだ。「そんならこれもらって行ってくれ」と生きた人間のお小僧まで預けられてしまったということである。
家に安置してお祭りをするには余り大き過ぎるので、お小僧とともに法住寺に持ちこんで何とか始末をしてもらった。また、彼が蒲郡の補陀寺に預けた薬師如来像は今、県の文化財になっている。

          広報みと❺文化財 昭和52年5月15日号より