小規模事業者の活躍を応援します。

御津町商工会

㊱ 金谷山『松沢寺』

152-1.png当寺は金野字桧河津9に所在し、浄土宗大恩寺に属しています。山号は金谷山といいます。創立は天文12年(1543)8月であって、ご開山は定蓮社正誉文越上人です。ご本尊は1尺5寸の木像阿弥陀如来で、木造7寸5分の両大師座像や、ほかに1尺5寸の地蔵菩薩像があります。
本堂の建築年代は不明ですが、庫裡は明治39年11月の再建となっています。大正2年の調査書によれば境内221坪、田6反1畝余、畑1反6畝余あったということですが戦後の農地解放で失ないました。山林は1町3反9畝余を有しています。現在無住ですが檀家の人が月3回ほどお寺の管理をし、お茶湯をつとめ、盆には兼務住職である大恩寺の方丈がお施餓鬼をつとめています。155-2.png
境内には水天宮がお祀りしてあり、これは水の神また西方の守護神ということで仏教一二天の一となっており、竜族の王者であり金割の水源を守り、かつ西方を守護する神としてまつられたものでしょうか。あるいは九州久留米にある水天宮の系統をひくものとして、安徳天皇や建礼門院を祭神と仰ぐ神祠で、これは舟や水の神としてまた安産の神として世人の尊崇をうけているわけですが、そのためにまつられたのでしょうか。または平氏ゆかりの人が勧誘したとでもいうのでしょうか。ともかく、宝飯郡には水天宮と称する神祠はきわめて数が少なく下地町にあるくらいのものです。その創立等はさだかでなく後考をまつこととします。

       広報みと❼文化財 (寺) 昭和61年3月15日号より