当院は字宮前69に所在し、町内唯一の真言宗寺院です。山号は四国山といいます。本山は京都の醍醐寺三宝院です。明王院のご開山は恵俊阿闍梨法印で慶長19年3月(1614)の創立となっています。境内は約260坪ですが佐脇神社に南接した杉小立と竹林におおわれ静寂の霊地です。
明治25年7月、四国の八十八ヶ所に擬して、信者たちが一体を1人か2人で寄進し88体の弘法大師石像を造り、巡拝ができるよう境内一杯に配置されています。旧3月21日弘法様の命日には、お接待と称して参拝者へ甘酒や菓子、もちなどが施されるので子供連れの老若男女でにぎわいます。苔むした巡拝道をたどれば、高野山の奥の院を歩くような心地がいたします。この寺のご本尊は不動明王ですが今年はあたかも弘法大師入滅1150年祭にあたり、各地で盛大な行事が行われようとしています。
当院は本堂にて常に加持祈祷が厳修され、大師のご利益により一般信者の無事息災、所願成就の功徳がもたらされ、また、請に応じて荒神祭り、地祭り、家相方位の相談、子供名付、建築士工等の祈願を奉仕し大師のご加護によって福徳を獲得し、安心立命の功徳を授かるということで信徒は町内はもとより為当町、前芝町、清須、川崎、下地町、小坂井町方面等にわたり広範囲に存在、3、400戸を擁しています。境内には西国三十三所観音をまつり、また、鎮守堂として金毘羅宮をお祀りしてありますが、もと下佐脇一村の村民で維持てきたものでしたが、いつのころか当院へ持ち込まれ、寺で管理をしております。本堂は明治22年5月の建築で榊原安通が棟梁でした。各大字の有力者が協賛して建てたことが棟札にあります。現在は三宅忠雄法印です。
広報みと:❼文化財 (寺) 昭和59年1月15日号より