本尊は阿弥陀如来で、創立は天文13年(1544)、開山は広誉浄印大徳です。開基は、寺記によると、森下村波多野源右衛門とされています。この人は、『波多野氏譜牒』によると、松平丹波守に仕えた忠頼かとも思われます。
本堂は、4間半に6間、庫裡物置は、4間半に3間半となっており、安永4年(1775)に建てられ、昭和41年に屋根替が行われました。3坪ほどの位牌堂は、昭和27年に建てられました。門を入った左手に、現住職建立になる「安延業無地蔵菩薩」が祀られています。昭和52年より毎月24日に地蔵講がつとまり、百万遍のお念仏供養があります。
塔頭というのは、禅宗では、開山や高徳の住職が亡くなった後、弟子たちが、その遺徳を慕って、塔(墓所)の頭(ほとり)や同じ敷地内に建てた小院をいいましたが、後には本山に附属する末寺等をいうようになりました。延宝9年(1681)の大恩寺の記録によりますと、胡月院、欣求院、宝樹軒、常照軒、竜蔵軒、良徳院、真光院、広樹軒、南松軒、無三院、養修院、安貞院、芸雲院の13ケ寺が塔頭になっていましたが、転宗、廃寺等によって現在は本院と冏運院2か寺のみになっています。
みと歴史散歩:❷古道に沿って 平成12年2月発行より