小規模事業者の活躍を応援します。

御津町商工会

㉔旧今泉医院建物

御馬城跡をあとに北東へ24-1.jpg200mほど進み、2つ目の交差点を左折し北に進む。すると100mほど行くと、右手にレトロな外観の建物が見えてくる。
この建物は、内科・外科・歯科を行っていた個人経営の旧病院建物であり、昭和2(1927)年に建築されたものである。建物配置は敷地をほぼ3分割し、敷地西側に門を設けて診療所、北側に病棟、南側に住居を配置している。建物はいずれも木造で、診療所は一部2階建て、病棟は平屋建てである。住居部分については、西側の和室は診療所の建物として昭和2年に建てられたものであるが、東側の2階建て部分は、明治36(1903)年に敷地内に建てられた建物を、昭和12(1937)年に移築したものである。その西の居間は、大正12~14年頃に建てられた建物を、昭和4(1929)年以降に移築したものである。
人目を引く診療所建物は、1階の外壁にドイツ壁仕上げを用い、2階の外壁を洗い出し24-2.jpg仕上げとしており、1910~1920年代に日本各地でみられた洋風建築の意匠を備えている。外壁の仕上げ方や窓の配置などの点から、当時の日本で「復興式」とよばれた西洋のルネサンス建築の影響を受けた建物様式に準ずる。ただし、玄関車寄せの意匠や西側正面が左右対称でかつ両隅を張り出して強調する意匠を考えると、「近世復興式」とよばれたバロック建築の影響を受けた建築様式の要素も兼ね備えている。よってこの建物は、「復興式」と「近世復興式」の中間に位置する様式といえる。

    豊川の歴史散歩小坂井の町から御津へ 平成25年10月発行より​​​​​​​