萩原神社を出て法住寺方面に戻り、県道372号を1.3㎞ほど東へ進むと御津神社がある。
神社の始まりについてはよく分からないが、仁寿元(851)年に御津神社へ従五位下の神階が与えられたことが『日本文徳天皇実録』にみえ、その頃には存在したことが明らかである。また、延長5(927)年にまとめられた『延喜式神名帳』(当時官社とされた全国の神社一覧)に社名がのる式内社であり、歴史の古い由緒ある神社である。祭神は大国主命で、摂社に磯宮・船津神社があるのは、御津が古代三河国の港の地であったことに由来すると思われる。
御津神社の梵鐘【市指定有形文化財】(見学できません)
梵鐘に刻まれた銘文より、享徳元(1452)年に細川成之と波多野(藤原)政家により製作・奉納された鋼鐘であることが分かる。細川成之は三河国守護で、波多野政家はこの周辺を治めていた在地の武士であり、室町時代における当地域の支配状況を知る上で重要な資料である。
御津神社のクスノキ【市指定天然記念物】
御津神社の御神木で、樹高は21mある。中心部が空洞(江戸時代に、落雷により樹幹が焼けた記録がある)となっているが、地上3mの所から枝が八本出ており、樹勢がよい。
豊川の歴史散歩:❸小坂井の町から御津へ 平成25年10月発行より