長沢城跡から東海道に戻り、長沢地区市民館の西角の交差点を北に入る。80m先に、長禄2(1458)年に長沢松平氏の祖である親則が建立したと伝えられる観音堂があり、その境内に長沢の三尊種子板碑がある。
板碑とは、板状に加工した石材に梵字などを刻んだ供養塔で、主に中世に追善供養を目的として建立された。この板碑には三つの梵字(種子)と年号の正安2の文字がある。種子とは、梵字1文字で仏をあらわしたものであり、この板碑には上から「金剛界大日」「釈迦」「胎蔵界大日」の種子である梵字が刻まれている。正安2(1300)年と刻銘されたこの板碑は、現在知られている限り県下最古の在銘板碑である。
豊川の歴史散歩:❹東海道沿いの町を行く 平成25年10月発行より