当院は山号を四国山といい、ご本尊は不動明王。御津町では唯一の真言宗の寺院で、本山は京都の醍醐寺三宝院です。開山は恵俊阿闇梨法印で慶長19年(1614)3月の創立になっています。境内は佐脇神社に隣接した静寂な霊地です。
明治25年7月、四国の八十八カ所に擬して、信者たちが一体を1人か2人で寄進し八八体の弘法大師の石像を造り、巡拝ができるように境内全域に配置しました。苔むした巡拝道をたどれば、紀州高野山の奥の院を歩くような心地がします。
本堂では日々加持祈祷が行われ、一般信者の無事息災、諸願成就の功徳がもたらされ、請いに応じて荒神祭り、地祭り、家相方位の相談、子供の名付、建築土工等の祈願奉仕を行っていました。
境内には西国三十三所観音を祀り、また、鎮守堂として金比羅宮をお祀りしています。
この金比羅様は、かつては下佐脇の村民で維持していたものでしたが、いつの頃か、この明王院に持ち込まれ、寺で管理をするようになりました。本堂は明治22年の建築で、各大字の有力者が協賛して建てたことが棟札に書かれています。
みと歴史散歩:❸音羽川の周縁 平成12年2月発行より