小規模事業者の活躍を応援します。

御津町商工会

②徳城寺の錫杖井戸

豊川進雄神社と道を隔てた東側に、曹洞宗寺院の徳城寺があ62-1.jpgる。境内西側の大きなケヤキが数本茂った一角に小さなお堂があり、その中に浅い井戸がある。粘土層にたまった水を得るこのような浅い井戸は、この辺りでは珍しい。人々は、この井戸を弘法大師にゆかりのある錫杖井戸として大切にしてきた。

錫杖井戸 【むかしばなし】
むかし、高野山金剛峯寺を開いた弘法大師(空海)という偉いお坊さんが、旅の途中、徳城寺に立ち寄った時のことです。のどがかわいた大師は「水を一杯ください」と寺僧に頼みました。「しばらくお待ちください」と寺僧は答え水をくみにいきましたが、なかなか戻ってきませんでした。
しばらくして、水のいっぱい入った手おけを持った寺僧が戻り、大師は冷たくておいしい水を飲むことができました。大師が水を持ってくるのに時間がかかったことを尋ねると、くみ置きの水がなかったので、崖下の清水まで水をくみに行っていたことが分かりました。大師は、この辺りには井戸がなく、飲み水にたいへん不便をしていることを知り、そこで「ここを掘れば、水が出ます」と、錫杖で地面をさしました。そこを掘るときれいな水が湧き出し、これよりこの井戸では、いくら汲んでも水のなくなることはありませんでした。以後人々は、この井戸を錫杖井戸とよんだといいます。    (『とよかわのむかしばなし』より)

    豊川の歴史散歩豊川の町から牛久保の町へ 平成25年10月発行より