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御津町商工会

★宝殿社の話 (6-②)

32.pngご祭神は木花開耶姫命である。
下佐脇に仕事の大きらいな若いなまけ者がいた。家には老母が1人きりで暮らしは難儀であったが、そんなことはおかまいなく、この若者はばくち打ちの仲間に入って遊び歩いていた。老母は何とかしてこの息子を正業につかせようとして、神様にすがりいつも宝殿社に日参していた。
ある夜、この若者が宝殿社の前を経て賭場に向かったところ、社前に1人の老人が現れて若者を呼び止とめ、こんこんとその不心得をさとした。しかし頭にきた若者はいきなり刀を抜いて老人を切りたおし、あとも見ずに立ち去った。
その翌朝、賭場がえりにまた社前を通りかかったので、あの老人めどうなっているかと、あたりをみまわしたが何の影もなく、ただ社殿の扉が少し開かれたままで、中をみるとご神体が袈裂切りになってたおれていた。さすがの若者もびっくりして、それからは本心に立ちかえり、正業にはげみ老母に孝養を尽したということである。この宝殿社は下佐脇の氏神様のお末社に祭られてある。

         広報みと❹郷土の伝説 昭和51年2月15日号より