本宮山登山道をあとに県道21号を西に向かい最初の信号を北に入る。300m進んだ交差点を右にまがり400m行くと宝円寺のシダレザクラがある。
このシダレザクラは、宝円寺を開いた三巘有玉和尚により植えられたと伝えられ、推定樹齢500年の老木である。高さは4.7m、枝張りは南北9m、東西15mある。主幹は二つに裂け、西と東に倒れ込むように別れており、それぞれ支柱に支えられながら横方向に広がっている。かつて1本だった主幹が昭和54(1979)年の台風16号で倒れ、その後に形成層が発達して現在の姿になった。明治末年には志賀重昴(岡崎出身の地理学者・評論家)が「東海の名木」として紹介し、広く知られるようになった。
本樹のすぐかたわらには、昭和30年代前半に、石垣からはみ出ていた根から伸びた芽を移植し根づいた若木が成長しており、4月初旬の満開時には2本のシダレザクラが重なるようにして花を咲かせている。
豊川の歴史散歩:❻本宮山麓を行く 平成25年10月発行より