宝円寺を出て西へ200m行くと曹洞宗寺院の松源院がある。松源院は古くは本宮山の中腹に所在したと伝えられるが、詳しいことは分かっていない。縁起によれば、明応4(1495)年の春、東漸寺の僧侶大中一介が、荒れ果てた松源院を現在地に移して再興したと伝えられる。
松源院の孤雲懐弉像【市指定有形文化財】
孤雲懐弉(1198~1280年)は、曹洞宗総本山永平寺の二世にあたる僧侶で、この像は鎌倉時代に制作されたものである。縦80㎝、横39㎝の絹地に懐弉の全身像が描かれている。禅宗では師の教えが重んじられ、その姿を表した肖像画(頂相)が大切にされた。
松源院の拄杖【市指定有形文化財】
拄(柱)杖とは禅宗の僧侶が行脚する時に、錫杖の代わりに用いた杖である。長さ2.2m、太さは3.3~3.6㎝ほどで、材はケヤキであつるる。表面には舵目刻みがつけられており、下部には蔓状のものが巻きついていた跡がある。寺伝によれば大中一介の持物という。
孤雲懐弉像·拄杖ともに、毎年1月7日の宝物開きの時に拝観することができる。
豊川の歴史散歩:❻本宮山麓を行く 平成25年10月発行より