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御津町商工会

⑲大樹院

一宮砦跡を出て砥鹿神社に戻り、JR三河一宮駅方面へ進む。駅の北東の踏切を渡り、県道498号を南西にまがり200m行くと、左手に曹洞宗寺院の大樹院がある。この寺では、毎年1月第2日曜日に大般若経の転読会(はんにゃさま、市指定無形民俗文化財)が行われる。また寺に隣接する倉庫には、大木進雄神社所有の大般若経とその収納箱や大木町内会所有の大木の伝馬免許状(ともに市指定有形文化財)が保管されている。

大木の伝馬免許状  【市指定有形文化財】(見学できません)
約400年前の慶長年間(1596~1615年)に、当時この地方の代官であった彦坂九兵衛光正の出した文書である。今の大木新町通は、信州往還とよばれた飯田に至る街道筋にあり、問屋が設置されていた。東海道以外の脇街道にも、伝馬制度が設けられたことを示す貴重な資料である。

三河の狐(狐妻) 【むかしばなし】
むかし、西原に成信という農民が住んでいました。ある日、美しい女が訪ねて来て、妻にしてくれるよう頼みました。成信はこの女と夫婦になり、男の子が生まれ、森目と名付けました。ある日の朝、田を見ると稲が逆さまに植えられていました。成信はこのことを妻に告げようと家に帰ったところ、妻は寝ていて、布団から尾が出ていました。妻は狐であることを見破られたので、子どもを抱えて田に出て、「世の中よかれ、我が子に食はしよ、検見を逃しよ、苞穂でみのれ」と言うと、逆さの稲が風とともに正常に植え返り、風が吹いて暗やみになり、葛の葉を巻き立てて、どこかへ去ってしまいました。
それから葛の葉は裏を見せるようになりました。成信の畑は穂が出ないで実ったので、検見の役人が見過ごしたということです。
これは葛の葉狐の伝説の一つの型で、今に伝えられています。                                                                                        (『愛知の史跡と文化財』より)

    豊川の歴史散歩:❻本宮山麓を行く 平成25年10月発行より