長草素盞嗚神社をあとに東へ向かうと、200mほどで佐奈川に架かる滝下橋がある。この橋を渡るとシロキ工業豊川工場があるが、その手前に念仏塚1号墳がある。
念仏塚1号古墳全長約30mの前方後円墳で、後円部の径が20m、前方部幅が13mある。かつてこの周囲には全部で8基の古墳が存在したが(念仏塚古墳群)、現存するのはこの1号墳のみである。2~4号墳(シロキ工業豊川工場の敷地内にかつて存在)では、昭和41(1966)年に発掘調査が行われており、2号墳は全長27.5mの前方後円墳、3号墳は径30mの円墳、4号墳は全長25mの前方後円墳であることが確認されている。この古墳群の特徴は、小規模な前方後円墳が近接して存在するところにあり、周辺地域の有力者の墓が、継続して狭い範囲に築造された結果であると考えられる。その時期は5世紀中頃から6世紀初頭と推定されている。出土品で特筆されるのは、東三河地域では珍しく、人物を中心に豊富な形象埴輪が出士したことである。特に5号墳では、力士や胡座の人物、島田髷の頭部、足玉をつけた脚部など多くの人物埴輪が出士した。これらの埴輪は、桜ヶ丘ミュージアムで保管・展示されている。
豊川の歴史散歩:❻本宮山麓を行く 平成25年10月発行より