【林寺金】金宮山松林寺は曹洞宗法住寺の末寺で、本尊は薬師如来です。文永5年(1268)創立との伝承もありますが、さだかではありません。
『神社を中心としたる宝飯郡史』によれば応永(1394)のころ、当寺が竜天王社を支配したとの記述があり、寺の存在が知られます。
延宝2年(1674)に法住寺の環中祖轍和尚を招じて草創開山としましたが、後年再び寺運は衰えました。中興の開山は、玉潤観嶺和尚で、霊験あらたかなこの寺を伝法地にと発願しましたが、果たさずに入寂したので、浄山舌溪和尚が志をつぎ明治5年にそれを達成し、玉潤和尚を法地開山としました。
嘉永元年(1848)茅葺であった本堂が火災にあったため、同5年に瓦葺で再建し、昭和35年にこれを改築しました。この時棟木に直接筆を染めた棟札銘が現われ、それには寛政6年(1794)再建と記されています。
境外地堂宇として御津中学校の南に、織旗の林立する薬師堂があります。創立は不明ですが享保6(1721)の絵図には、すでに薬師として載っています。特に眼病に霊験があるとされ、今も多くの人が参詣しています。
字仲ノ坪にあった阿弥陀堂は、腐朽が進んだため、本尊をこの寺に移して建物は昭和62年に取り壊しました。
【十王堂】このお堂は、御津川に架かる十王橋に程近い、字六反田地内にあったと伝えられます。堂宇は明治初期に廃されて、祀られていた十王13体は、いずれも松林寺本堂に安置されています。
みと歴史散歩:❶駅中心に 平成12年2月発行より