【右:御油停車場 左:東御馬 道】
この道標は、白川の東、佐脇原の畑中の辻に建っている。正確には、大字下佐脇字佐脇原1番地先で、町道227号線(牛久保道)と206号線が交差する地点である。
ここは、小坂井や小田淵方面から来ると、西方、御馬方面への分岐点に当り、右に行けば白川を渡って、下佐脇の郷中を通り西方の御油停車場(昭和26年8月1日愛知御津駅となる)に達し、左に進むと東御馬に至る幹線主要道路であった。御油停車場は、明治21年9月1日東海道鉄道(東海道本線)の開通と同時に開設された。当時隣接停車場としては、東は豊橋西は蒲郡で、御油停車場は豊川稲荷や御油の郡役所への表玄関であり、近郷唯一の駅として繁盛したが、明治30年豊川鉄道(飯田線の一部)の全線開通、大正15年愛知電気鉄道(名古屋鉄道)が岡崎から小坂井まで延長され更に昭和2年には豊
橋まで開通するなど、鉄道網が整備され加えて、東海道本線にも駅の新設が相つぐなどして、その背後地域は徐々に減少された。
世相の移り変りによって、この牛久保道も昔日の面影はないが、都市計画道路として、中通線と下佐脇豊沢線の建設が予定されており、将来再び脚光を浴びる日の到来も夢とは言えまい。
なお、道標の側面に「河口佐一郎建之」と刻まれており、建立の時期はさだかでないが、近親者の言によれば日露戦役の頃と推測される。