最低賃金については、直近10年で、中小企業・小規模事業者の経営実態や地域の実情を十分に踏まえず、コロナ禍のピーク時を除いて、毎年大幅な引上げが繰り返されており、令和5年度と平成26年度を比べると約29%の引上げとなっております。
また、政府は昨年最低賃金の全国加重平均が1,000円超となったのを受け、新たに、2030年代半ばまでに最低賃金1,500円の達成という目標を設定し、最近はその前倒しに向け努力する旨も表明しております。
加えて、昨年度は、他県の最低賃金審議会において、使用者側委員の反対にもかかわらず、近隣との格差解消を目的として目安額を上回る引上げが相次いだとのことであります。
このような状況を踏まえ、本年度、全国商工会連合会(以下「全国連」という。)では、引き続き「政労使の意見交換」において、中小企業・小規模事業者の厳しい状況について説明しながら、価格転嫁対策の徹底や生産性向上等の支援策の拡充の要望がなされます。
また、全国連が参画する「中央最低賃金審議会」においても、地方最低賃金審議会とも連携し、中小企業・小規模事業者経営実態等について、踏み込んだ意見表明がされ、支援策の拡充等について、実務的な観点での要望が実施されます。
なお、本年度の最低賃金の審議に向けて全国連は、過日、日本商工会議所・東京商工会議所(いずれも小林健会頭)及び全国中小企業団体中央会(森洋会長)と共同で、別添のとおり最低賃金に関する要望をとりまとめて、政府に対する要望を実施いたしました。
本要望は、前述の問題点についての要望に加え、中小企業・小規模事業者が自発的に賃上げできる環境整備のための生産性向上支援や価格転嫁対策の徹底、人手不足に拍車をかけているいわゆる「年収の壁」の解消等も盛り込まれております。