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御津町商工会

⑮長福寺

関川神社を出て東海道を北西に170m進み西に入ると、浄土宗寺院の長福寺がある。
寺伝によれば長福寺は、長保年中(999~1004年)に赤坂の長者であった宮道弥太次郎長富が、娘の力寿の菩提を弔うために、赤坂会下山に長富寺を建立したのが始まりという。寺の裏山には、カ寿の墓と伝えられる「上臈石」「女郎石」ともよばれる自然石が、石塔の一部とともに建っている。承久(1219~1222年)の頃に寺が火災で焼失し、永仁4(1296)年に玄徳によって再び衰え無住の寺になったという。その後大永2(1522)年に、大運寺(今の御津町広石の大恩寺)の暁誉上人が、弟子の善誉上人に命じて現在地に寺を移したといい、その時に寺名を長福寺に改めたという。

木造聖観音立像 【県指定有形文化財】(見学できません)
本堂の南にある観音堂の本尊の木造聖観音立像は、高さ191.2㎝のヒノキの一木造りで、12世紀前半頃の作と推定される。彩色はほとんどはげ落ちているが、原形はよく保存されている。顔立ちは写実的で、豊かさの中にキリリとした強さも秘めている。左足をやや浮かせて立つ姿、もとどりが垂れ下がる髪の様子や、耳たぶが細いひも形であることも印象的である。像の左右に垂れ下がる綬帯や宝冠から下の金具飾り。持ち物、光背、台座などは、後から補ったもである。

長福寺のヤマザクラ 【市指定天然記念物ヤ】
ヤマザクラは本州の関東以西に布しているが、変異が多いため花の色や葉の形はいろいろな種類がある。長福寺のヤザクラは、推定樹齢300年の古木で、幹周りは2.8m、樹高は7mある。

    豊川の歴史散歩:❹東海道沿いの町を行く 平成25年10月発行より